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譜久山仁 の 第3診察室

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逆算 の緩和ケア

迷路って、ゴールからたどるとすっと通れますよね。

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時間がある時には迷うのも楽しいかもしれませんが、緩和ケアを必要とする患者さんに残された時間はとても貴重なもの。
「これで良かった」という最期を迎えられるよう、限りある時間内に無事に辿り着きたいですね。
そのためには、最期をどのように過ごしたいのかを患者さんとご家族さんが思い描いて、それを実現できるように医療者、介護者が支えることが必要です。

ふくやまは、緩和ケアのかなり早い段階で、
「イヤなお話をしてもいいですか?」と前置きをして、「いいですよ」とお返事を頂けた時には、ご自宅での生活が一人でできなくなった時にはどこで過ごされたいかをたずねています。

入院は緊急で入って来られても何とかなりますが、ご自宅で過ごすための調整には時間がかかることがあります。

どのくらいの時間があるのか、ゴールまでの距離がどのくらいか、がわかると、それに間に合うように準備ができますが、ゴールが定まっていないと望まない最期になってしまうかもしれません。

イヤなお話ではありますが、逆算の緩和ケアで患者さんがより良い時間を過ごせるなら、イヤな役を務めていきます^_^


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# by fkymhts | 2017-02-19 18:49 | 緩和ケア

最期は在宅 それとも 入院?

 先日、緩和ケアの勉強会で、
患者さんの最期を患者さんの意思で決められるのはわずか1%で、
医師が決めるのが2/3、ご家族が決めるのが1/3という話を聞きました。

割合は場所によっても、状況によっても変わると思いますが、
患者さんの意思で決められることが少ない、というのは実感しています。

在宅医療をしている先生は在宅が良いと言い、
入院医療をしている先生は入院が良いと言う。
提供する医療に自信を持つことはもちろん大切ですが、
そもそもその患者さんにとってどこで過ごすのが良いか、
と言う視点が何よりも大切だと思います。

自宅で過ごすこと、入院で過ごすことのメリット、デメリットを説明し、
どちらで過ごすことを選んでもバックアップできるように在宅医療と入院医療で連携をする。

そうすれば、患者さんの最期を患者さんの意思で決めることができるようになると思うのです。

自宅で亡くなりたいと言う希望は8割、でも、実際に亡くなっているのは1割、というデータ。
ご本人は自宅で亡くなりたいと言い、ご家族は病院が安心と言う。

このようなことは、「在宅を選んだらいざという時に入院できないのでは」、とか、
「一旦入院したら家に帰ることができないのでは」、という不安が強いことも大きな原因と思います。

在宅と入院のどちらを選んでも、状況が変わった時には変更できるように柔軟に対応して、
片道キップにならないようにする。

ふくやま病院で細々とではありますが行っていることを、これからも続けていきます。

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# by fkymhts | 2017-02-19 18:16 | 緩和ケア

早期からの切れ目のない緩和ケアって?

「緩和ケア」というと、
「もう、そんなに悪いのですか?」 と言われることがあります。

たしかに、緩和ケアという言葉が使われ始めたときは、「がん治療が効かなく」なってからするケア、と言われていました。
でも、それは25年以上も前のはなし。
今は、早期からの緩和ケアが必要、と言われています。
WHOは、1990年の時点では緩和ケアを「がん治療が効かなくなった患者に対する全人的なケア」と定義していましたが、その後、2002年の声明で、「がん治療の早期から開始すべき積極的な医療」と、がん治療の中心的存在へ位置づけを転換しています。転移・再発と診断された時点から、抗がん剤治療などと同時に開始すべき医療が緩和ケアなのです。
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ふくやまが2004年に明石で緩和ケアに関わり始めたときは、
抗がん治療後の緩和ケア が一般的でした。

抗がん治療後、患者さんはそれまで治療して下さった先生や病院との関係が終わって「もう治療がありません」と言われ、諦めと失意のどん底にいることが多かったのです。

抗がん治療後に緩和ケアが始まっても、短期間で亡くなられる患者さんも居られ、患者さん・ご家族さんと緩和ケアを提供する医師や看護師などの医療者との人間関係を築くのもなかなか困難でした。

そこで、抗がん治療を行う先生と相談して、抗がん治療中の段階から患者さんを支える「バックアップ」という形での緩和ケアを始めることにしました。
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緩和ケアは、患者さんが がん と診断された時から生きている間ずっと、そして、亡くなられた後のご家族の悲しみまでを支えるケアです。
そのためには、緩和ケアを提供する医療スタッフがチームとなって、患者さんやご家族と一緒に歩んでいくことが大切です。

抗がん治療は がん を取り除いたり、小さくしたりすることを目標としますが、
緩和ケアは 患者さんやご家族がより良い時間を過ごすことを目標とします。
そのため、緩和ケアは、通院、入院、そしてご自宅(在宅医療)を通じて、切れ目なく提供される必要があります。

抗がん治療の段階から、そして、できることならば抗がん治療を行う病院と連携して、がん と診断されたその瞬間から、切れ目のない緩和ケアを明石で提供していきたいです。

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# by fkymhts | 2017-02-15 18:37 | 診察室のひとりごと

責任

 43歳の一年は、大きな変化の中にスタートを切ります。
先月、産まれた時から42年間生活し仕事をしてきた西明石の病院が西新町に移転し、
住み慣れた我が家がなくなる寂しさと新しいホームグラウンドができる喜びが入り組んだ思いで
新病院での仕事が始まりました。

父は38歳で創業した19床の譜久山外科を、45床の譜久山病院へ成長させる第2期工事を今の僕の歳で行いました。
僕は産まれて4ヶ月の時から病院の子として父が働く姿を見て育ち、父と同じ外科医としての道に進みました。
父は救急体制が不十分で医療の専門分化が進んでいなかった時代に、困っている人は助けるものだという考えのもと、
幅広い病気、ケガの患者さんを診ていました。
時代は変わり、周りに救急医療、専門医療を行う病院ができ、以前は手術でないと治らなかった病気が薬や内視鏡で治療が
できるようになり、外科医としての仕事の内容はずいぶん変わってきました。
でも、住み慣れた地域で安心して暮らせるように支える、という地域医療に対する責任は変わりません。

僕が力を入れている がんの緩和ケアは、患者さんと家族が住み慣れた場所で過ごすための支援が大いに必要とされます。
がんは、亡くなる2ヶ月程前から日常生活に支障が生じることが多く、それまで自立した生活していた人が急に支えを必要とするようになります。
そのタイミングを見逃さず、その人らしく生きることができるように支えるためには、普段からその患者さんの人となりとご家族の関わりを知る必要があります。
そのためにも、早期からの切れ目のない緩和ケアが必要なのです。

外科医として学んだ全身管理と救急処置の技術をもとに、がんの患者さんが地域で安心して過ごせるように支えていきたい。
それが、父から僕が引き継ぐ、地域に対して果たすべき責任なのだと思います。

3人の息子を持つ身となり、自分の思うようにいかない子育てからも、親のありがたさを実感するようになりました。
今、こうしてここにあるのも、全ては両親のおかげであり、親にしてもらったことを息子たちにつないでいくのが、家族に対しての責任です。

そうして、この感謝の思いを、息子たちが心から言えるように伝えるのも、父親としての責任です。

 お母さん、
43年前の今日 僕を産んでくれて、ありがとう。

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# by fkymhts | 2016-12-05 22:36 | 白衣を脱いで

「魔法」

 「魔法が起こったの。
痛かったのが、こんなに楽になるなんて。」

 1週間前に、訪問看護師さんから
「お腹の痛みがとても強いと言われています。」と新幹線の中で電話を受け、
「1時間で病院に戻りますから、来てもらってください。」と緊急入院となった患者さん。

 がんの終末期で、非常に厳しい状態。
お腹はどこを押さえても痛む。
CTでは腸に穴が空いて漏れたと考えられる空気が写っていました。
おそらく、下部消化管穿孔。
元気な人ならば緊急手術で救命できますが、手術ができない場合は数日以内に亡くなることが多い、大変重篤な状態です。

それまでは、
「できるだけ家で過ごしたいので、入院はしたくない。」
と、しんどい体をおしての外来治療と訪問看護で診ていました。
段々と状態が悪くなっていくのを、ご本人もご家族も覚悟はされていましたが、
あまりにも突然の急変。

消化管穿孔であることを伝えて、
ご本人には、「命に関わります。」
ご家族には、「今日中に亡くなるかもしれない覚悟が必要です。」
と説明しました。

何はともあれ、まずは痛みを取らないと。
患者さんは苦痛で眉根をひそめ、呼吸は早く粗い。
モルヒネの注射を開始し、まずは早送りをしても痛みが取れない。
もう1回早送り、「まだ痛い。」
もう2回、「まだ痛い。」
量を増やして、早送り...
と続けて、ようやく呼吸が穏やかになってきました。

「痛みが落ち着いたようなので、これで様子を見ましょう。」
とご本人に声をかけ、
廊下に出てこられたご家族には
「痛みはモルヒネでコントロールして、腹膜炎は抗生剤での治療をしますが、非常に厳しい状態です。」とご説明して、夜中に呼ばれることも覚悟していました。

翌日の日曜日、翌々日の月曜日と、日を重ねるごとに症状が楽になり、
火曜日。
心理カウンセラーがお部屋に伺った時に
「魔法が起こったの」

それから、4日間。
「魔法」で痛みが取れた身体で周りの方にたくさんの感謝を伝えられました。
急変に動揺されていたご家族でしたが、病室に寝泊まりして同じ時間を過ごされることで現実を徐々に受け入れられました。
起きて居られる時間が段々と短くなり、言葉数が減り、話しかけに対してうなずかれるだけになり...

ご家族が穏やかに見守られる中、息を引き取られました。
ご入院されたちょうど1週間後でした。

「魔法」
どんな苦しい状態でも、そう言って感謝できるあなたの心が、
みんなに魔法を見せてくれたのでしょう。

今の僕は魔法が解けて虚ろな状態ですが、
ひと休みして、あなたが見せてくれた魔法をこころに、
がんで困っておられる方の支えになれるようにがんばりますね。
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# by fkymhts | 2016-03-31 16:39 | 病気のこばなし

患者さんに役立ち、医療者にやりがいがある 緩和ケア

緩和ケアでは、
医療者が患者さんを管理しようと思うと苦しい。
患者さんが病気の経過をリセットできると考えていると、受け容れができない。

医療者、患者さんの双方にとって幸せを目指すためには、
医療者が経験や知識から患者さんの経過を予測し、
患者さんの人となりを理解した心でそれを説明し、
患者さんの受け止めを共感的立場で傾聴すること。
そして、患者さんが望む生き方をチームで支えること。

なんとなく、こんなことが見えてきました。
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# by fkymhts | 2016-03-23 16:17

温熱療法の院内勉強会

 温熱療法を見学するにつれて、自分だけでなく病院の仲間に知ってもらいたいと思うようになりました。9月16日に山本ビニターさんからサーモトロン装置や治療の概要についてのお話。11月13日には古倉先生から温熱療法の理論や化学療法、放射線治療、免疫療法との併用などの詳しいお話をしていただきました。
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まだお話を聞けていない法人スタッフや疑問点を持っているスタッフもいます。
16日の公開勉強会では、たくさんの方に温熱療法導入を歓迎してもらえるよう、しっかりと(ホンネで)お話をしていただきます。
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# by fkymhts | 2016-01-06 00:52 | 診察室のひとりごと

日本ハイパーサーミア学会参加

 2015年9月4日には、大阪で開催された日本ハイパーサーミア学会に参加してきました。
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先日京都でお話を伺った、古倉先生の教育講演をはじめ、長野で温熱療法に熱心に取り組んでおられる西和田林クリニックのご発表を聴いてきました。
西和田林クリニックはホームページでも温熱療法についてわかりやすく説明されており、患者さんアンケートなどが見れる新聞・雑誌掲載情報も治療を受けているがんの種類や治療効果、副作用の参考になります。
学会で勉強することも大切ですね。
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# by fkymhts | 2016-01-04 23:19 | 診察室のひとりごと

協和病院に温熱療法の見学へ行きました。

 8月19日の見学の熱が冷めやらぬまま、8月26日には譜久山病院から最寄りの温熱療法施行病院である協和病院を見学させて頂きました。今回は、譜久山病院の看護師さん達も一緒に伺いました。
協和病院 河村 宗典先生は温熱療法に早くから取り組んでおられ、2015年の関西ハイパーサーミア研究会の当番世話人を務められました。
河村先生から温熱療法の治療についてお話を伺った後、実際の治療を見学させていただきました。
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治療室前の廊下の壁に 命の木 といって患者さんが書かれたカードを貼れるようにしている場所があり、温熱療法が患者さんの症状緩和やこころの支えになっていることがよくわかりました。
いのちの木 以外に、患者さんの感想も協和病院のホームページに載っていますので、治療を受けられる患者さんにとって心強いと思います。

 今後、温熱療法を導入したい、というお話をすると、
「せっかく良い治療なのに治療を行っている病院が少ないので、患者さんは通院だけで疲れてしまいます。譜久山病院の近くの患者さんがそちらで治療ができると良いですね。」と言っていただけました。
今後のご指導も快くお引き受け頂き、懐の大きさ、温かさを感じました。
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# by fkymhts | 2016-01-03 22:20 | 診察室のひとりごと

温熱療法の守備範囲

 古倉先生と坂元先生からお話を伺い、温熱療法の実際の治療についてよくわかりました。
温熱療法は42.5℃以上の温度でがん細胞が死ぬ、という理論に基づく治療ですが、がん組織をまんべんなく温めることが困難なために温熱療法単独でがんを縮小する効果は期待できません。
ただ、手術の後の再発予防としては、単独でも効果が期待できるようです。
また、抗がん剤や放射線治療と併用すると抗がん効果が強くなるとのエビデンス(証拠)があり、京都府立医大の消化器内科では抗がん剤治療をする際には温熱療法を一緒にする、とのことでした。
温まること自体でも、痛みやだるさ、便秘が楽になったという報告があり、抗がん剤や放射線治療との併用ができなくても症状緩和効果があります。このため治療自体が苦痛でなく、譜久山病院から協和病院さん(西区押部谷にあり譜久山病院から最寄りの温熱療法をしている医療機関)に紹介している患者さんも、週に一度の治療を受けに来るのが楽しみと言われています。
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つまり、抗がん剤、放射線治療と併用するとがんに対する相乗効果が期待でき、症状緩和によるQOL改善があることから、歩いて病院に来れるほぼすべての患者さんが受けることができる治療であり、このことによって価値ある延命を目指すことができます。
明石では抗がん剤や放射線治療との併用は一般的でなく、標準治療ができなくなった時点で患者さんからの希望で協和病院さんなど温熱療法を施行している医療機関を紹介されることが多いようです。
温熱療法についての正しい認識が広まり多くの方の役に立てる治療になって欲しいので、1月16日の公開勉強会で多くの皆さんにお話を聞いていただけるのが楽しみです。
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# by fkymhts | 2016-01-02 22:14 | 診察室のひとりごと