「先生、がんが再発しました。」
第3診察室に入って来られたTさんから、辛いお話がありました。
Tさんとは、食道がんを県立病院で手術した後、再発を防ぐための抗がん剤治療 (術後補助化学療法) をするために、ふくやま病院にご紹介頂いてからのおつきあいです。
「そうですか‥」
抗がん剤の副作用も乗り切って、いつも明るく振舞われるTさんですが、
なんとお声がけしたものか、言葉に詰まってしまいました。
「でもね、再発してしまったものは仕方が無いので、県立病院の先生が言われる、放射線治療と抗がん剤治療を受けることにしました。」
Tさんの目には、ご自身の病気に真正面から取り組んで行こう、という強い力が見えました。
「そうですね。
これまで、手術も、その後の抗がん剤治療も、
その時その時で最善、と考えられる治療をしてきたのですから、
今回も、ベストの治療をして行きましょうね。」
と、お答えし、
Tさんと奥さんが放射線化学療法 (放射線治療と抗がん剤治療を組み合わせた治療) について
ご不安、ご不明に感じておられることを伺い、説明をしました。
一通り説明が終わり、納得されたTさんは、
「それじゃあ、先生、
県立病院の入院治療で年内一杯かかると思うので、
退院してきたら、また、お願いしますね。」
と言って、第3診察室を後にされました。
Tさんの前向きな姿勢に、再発の告知の後の診察にもかかわらず、元気を頂きました。
治療を無事に終えて、また、元気なお顔を見せていただけるのが、
楽しみです。