譜久山仁 の 第3診察室

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主 = あるじ

 進行癌の患者さんが、退院されることになりました。

ご自宅で過ごされることに、とても大きな不安を抱いておられます。

「病院にいるほうが、本人も、家族も安心なんやけど…。」


 ご本人のお気持ちも、ご家族のご心配も、痛いほどよくわかります。

でも、それでも、退院できる患者さんには、少しの間でもいいからご自宅で過ごす時間をもたれることを強くおすすめします。


「あの時だったら、家に帰れたのに…。」
と、後悔していただきたくないから。


 病院は、患者さんにとって、仮の住まいです。

入院していなかったら普通にできること。
ちょっと、家の片づけをしたり、庭の手入れをしたり、友人を招いたり、お酒を飲んだり、おいしいものを食べに行ったり、といったことが、残念ながら今の病院に入院しているとできません。

ご自宅では、それができるのです。

ご自宅では、患者さんはあるじです。
ご自身の体の調子が許す限り、あるじとして、好きなことができます。

でも、現状では、病院にいるというだけで、患者さんはあるじとしての尊厳、誇りを持つことができません。


まずは、可能な限り、少しの期間でもいいので、ご自宅でのあるじとして、そして、ご自身の人生のあるじとして、病院の外で過ごす時間を持ってください。

そして、病院の課題としては、患者さんが病院にいないといけない間、その患者さんがあるじとしてすごすことのできる環境を作ることです。
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by fkymhts | 2005-05-01 00:50 | 医者と患者さん