譜久山仁 の 第3診察室

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憤り

 事故にあって、重体の患者さんが救急車で搬送されてきた。

病院到着時は、心肺停止状態。

気管内挿管、人工呼吸、心臓マッサージ、点滴ルート確保、強心剤注射

すべて行うが、心電図は、正常な波形を刻まない。

蘇生をしながらのCT検査では、いくつか異常が見つかったが、死因を特定することはできない。

蘇生も空しく、患者さんは亡くなった。

事故で亡くなって、死因を特定できない場合は、本来は監察医による行政解剖が必要である。

検視した警察からは、
「事故の目撃者はおり、事件性はないので、死亡診断書を書いてほしい。」 との要望。
「明石市には監察医制度がないので、事件性もないし、なんとか診断書を書いてもらえないか」

死因よりも事件性の有無の方が重要関心事である様子。
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事件性の有無が大切なことはよくわかる。
でも、人が亡くなる、その原因というのは、もっと大切なことではないのか。

監察医を設置しているのは東京23区、横浜市、名古屋市、大阪市、神戸市の五都市だけである。

人の死の原因よりも事件性の有無が優先される現状、
監察医がわずか五都市にしか置かれていない現状
翻って、人の死の原因を正確に判断することに重きをおいていないと考えられる行政の現状
に、憤りを感じる
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by fkymhts | 2005-05-27 22:15 | 診察室のひとりごと