譜久山仁 の 第3診察室

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家に帰ろう

「先生、家に帰りたい。」
患者さんのその一言で、僕たちは動き始めました。

がんの症状緩和が主な治療となっている患者さん。
がん治療の専門病院からの紹介で緊急入院。
症状緩和に成功、ご家族の協力もあり、一旦はご自宅へ退院されました。
が、1週間で新たな症状が出てきて、再度入院。

入院後、新たな症状に対する治療を行い、すこし楽になりましたが、
「家に帰っても、家族に迷惑をかけるしなあ…」と言われ、
「家に帰ってみたら、大変でした。」と、ご家族。

もう、ご自宅へ帰ることはできないかな、
と、緩和ケアのチームでも退院についてはあきらめモードが漂い始めました。

それが、数日後、
「先生、今日、帰りたい。」
普段は控え目な方が、はっきりと意思表示をされたのです。

ご家族も、
「そこまで言うのだったら」
ということで、急遽、退院前カンファレンスを開催。

いつもお世話になっている訪問看護ステーションの看護師さんも参加して下さり、
トントン拍子で退院が決まりました。

退院の日、心なしか活気が無いように見えましたが
「ご自宅に帰るのは楽しみですか?」
という問いに、
「はい。」と力強く返事をされました。

支えて下さる家族に囲まれて、住み慣れたご自宅で過ごせる時間は、
たとえ医学的なサポートが少なくて心配なことを差し引いても、
何にも勝るもの。

先日、見学をさせて頂いたケアタウン小平の記事を見ながら、そう思いました。

病院内の業務が落ち着いたら、地域で生活をされている患者さんのもとへ、往診に出かけたいな。
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by fkymhts | 2013-06-05 22:25 | 診察室のひとりごと