譜久山仁 の 第3診察室

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正解

 
しんどかった。
いなかのことは、なんもおぼえとらん。
とにかく、早く帰ってきたかった。
病院に着いて、本当にうれしかった。


 Mさんは、無事に外泊をすることができました。
そして、帰ってこられた翌朝のことです。



 「お帰りなさい、どうでしたか?」
こころなしか、先回の外泊の時よりは元気のなさそうなお顔を見ながら、たずねました。
あとの命が短くなってでもいいから、と、外泊を楽しみにされていたMさんの口から返ってきたのが、この言葉でした。

 
 この言葉を聞いて、緩和ケアには決まった答えがないんだな、と思いました。

楽しみにしていた外泊を何とかすることができて、
「よかったよ」、という言葉が返ってくれば、
物語としては上出来です。

 でも、実際には、そううまくいかないこともあるんです。


 じゃあ、外泊をしなかったらよかったのか。

 もし、外泊をしなかったら、後になって、
「あの時だったら、まだ外泊をすることができたのに」
と、悔いることもあったかもしれません。

 なにが、本当に、正解なのか。

 きっと、正解は誰にもわからず、
その場にいる患者さんとご家族と医療者がみんなで行き着いた答えが
ベストな答えなんだろうな。

 少し、元気のなくなったMさんのベッドサイドに座り、手を握りながらそう思いました。


 ふと、Mさんの手に、何か書いてあるのが、目に付きました。
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by fkymhts | 2005-09-24 23:12 | 医者と患者さん