譜久山仁 の 第3診察室

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湿潤療法について

キズの手当てについての大まかなお話を以前にしました。
今回は、その中でも、キズに対しての湿潤療法のお話をします。

湿潤療法は、以前は閉鎖療法と呼ばれていました。
けがを創傷被覆材で覆って、閉じて治療することから閉鎖療法と表現されました。
その後、提唱者の夏井先生がキズを潤った状態で治す、ということから、うるおい療法、湿潤療法という言葉を使われるようになりました。
譜久山病院でも、以前は閉鎖療法という表現をしていましたが、現在では湿潤療法という呼び方に変えてきました。



さて、湿潤療法ですが、
今もなお続いている誤解のひとつに、キズは乾くと治る、というものがあります。
キズは乾いた状態では治りにくいのです、とご説明すると、驚かれる方がたくさんおられます。

乾燥はお肌の敵、ということをご存知の方は多いのですが、キズに関しては、なぜか乾いている方が治る、と誤解されているようです。

細胞培養、という言葉を聞かれたことがありますか?
実験のために、動物や人の細胞を増やす(培養する)ことです。
細胞を増やすためには、その細胞が落ち着いている場所としての培地と栄養となる培養液が必要です。

キズが治る時は、細胞培養と同じことが起こっており、
キズそのものが培地であり、キズから出てくる浸出液(ジクジク)が培養液にあたります。
そして、浸出液の中には、細胞増殖因子といって、細胞が増えるのを助ける材料も入っているのです。
こちらがイラストでの説明があって、とてもわかりやすいですので、ご参照ください。)

つまり、キズが乾いてしまうと、新しくできてくる細胞が育つための環境が壊されてしまうのです。
その結果、キズで細胞が増えにくくなり、「肉が盛りにくく」なって、キズが治りにくくなります。

湿潤療法は、キズが乾かないようにして、細胞が増えるのに適した環境を作る治療法です。
そうして、キズが治るのを手助けすることによって、消毒とガーゼの治療と比べて数倍のスピードでキズが治っていくのです。
(もっとも、これまでにお話をしてきたように、消毒とガーゼではキズの治り方がおそくなっているのですが…)
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by fkymhts | 2005-11-02 22:43 | キズの手当て