譜久山仁 の 第3診察室

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自責

「家に帰ったから、早く亡くなったのでしょうか?」

Mさんの奥さんは、自分を責められているようでした。

癌の末期状態で入院されていましたが、ご自宅で療養を希望され、退院されました。
退院されて1週間足らず。
予想より早く、容態が悪くなり、最期の時を迎えることになりました。



「病院にいたら、もっと長く生きられたかもしれない、と言われることがあるんです。」


「Mさんは、帰りたい、希望されておられたご自宅で過ごすことができて、幸せだと思います。」
という僕の言葉にも、まだ、自責の念が晴れないようです。

「癌の末期の状態で、ご自宅に帰りたい、と希望されて帰ることができる方は、本当に少ないんです。」
「ご本人が帰りたいと思われていても、ご家族がご心配で受け入れられないこともありますし、容態によっては退院することができないこともあります。」
「Mさんにとって、ご自宅に帰りたいと思いながら過ごす時間より、ご自宅でご家族に囲まれて過ごされた時間のほうが、はるかに充実していたと思います。」
「病院におられても、ご自宅に帰られても、周りの方からはいろんなご意見が出ます。」
「最後は、Mさんご自身が希望されることがかなえられたかどうか、が一番大切なのではないでしょうか。」

奥さんの表情が、少し晴れたように思いました。

緩和ケアを受けられる患者さんのご家族は、熱心にされる方は特に、、
もっと長く生きることができたんじゃないか。
あんなこともしてあげたかった。
こんなところに連れて行ってあげたかった。
と、ご自身を責めてしまいがちです。

終末期のケアに100%正しい答えはなく、
ご本人に残された時間をどれだけ安楽に、
そして、ご本人が希望された通りに過ごしていただけるか。

それが満たされれば、ほかの方からのご意見はあくまでもご意見として伺っておけばよいと思っています。
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by fkymhts | 2006-02-26 22:47 | 医者と患者さん