譜久山仁 の 第3診察室

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終 つなぐ

患者さんは、普段は一人暮らしでしたが、ご家族がたまたま遊びにこられて外出されました。



外出先で急に倒れましたが、非番の救急隊員がたまたまそこに居合わせました。

救急隊員は心肺停止状態であると判断し、心肺蘇生を開始すると同時に救急車を要請しました。

幸い、救急車が到着するまでに自発呼吸が再開し、脳への酸素供給が中断されたのが短時間にとどまりました。

救急車が現場に向かうと同時に、救急本部が収容病院を探しましたが、なかなか見つかりません。

そうして、最終的に搬送されたのが、譜久山病院でした。


心筋梗塞と診断すると、その時点で循環器救急の受け入れが可能な病院での緊急の治療が必要になります。
受け入れをしてくれる病院がすぐに見つかったのも、この患者さんにとっては幸運でした。


心肺停止状態では、蘇生するまでの時間が1分遅れると蘇生できる可能性が10%低下する、といわれます。


もし、この患者さんがお一人で居られる時に心肺停止したら。

もし、倒れられた時に、救急隊員がいなかったら。

もし、心肺蘇生をするまでの時間がかかったら。

もし、譜久山病院での救急車受け入れができない状態だったら。

もし、循環器救急が受け入れできない状態だったら。

と、考えると、

この患者さんの命は、綱渡りしながらつながれているようなものです。


心筋梗塞の患者さんを譜久山病院で治療することはできませんが、自分の手に渡ってきた命を、責任もって次の医療者につなぐことはできます。

CPAの患者さんを救命できることは、医療者にとっても本当にまれなことです。

これからも、すこしでも可能性のある命を救って、

そして、自分の手で救えない命は次につないでいきます。
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by fkymhts | 2006-03-01 22:51 | 医者と患者さん