譜久山仁 の 第3診察室

shinsatsu.exblog.jp
ブログトップ

カテゴリ:病気のこばなし( 71 )

「魔法」

 「魔法が起こったの。
痛かったのが、こんなに楽になるなんて。」

 1週間前に、訪問看護師さんから
「お腹の痛みがとても強いと言われています。」と新幹線の中で電話を受け、
「1時間で病院に戻りますから、来てもらってください。」と緊急入院となった患者さん。

 がんの終末期で、非常に厳しい状態。
お腹はどこを押さえても痛む。
CTでは腸に穴が空いて漏れたと考えられる空気が写っていました。
おそらく、下部消化管穿孔。
元気な人ならば緊急手術で救命できますが、手術ができない場合は数日以内に亡くなることが多い、大変重篤な状態です。

それまでは、
「できるだけ家で過ごしたいので、入院はしたくない。」
と、しんどい体をおしての外来治療と訪問看護で診ていました。
段々と状態が悪くなっていくのを、ご本人もご家族も覚悟はされていましたが、
あまりにも突然の急変。

消化管穿孔であることを伝えて、
ご本人には、「命に関わります。」
ご家族には、「今日中に亡くなるかもしれない覚悟が必要です。」
と説明しました。

何はともあれ、まずは痛みを取らないと。
患者さんは苦痛で眉根をひそめ、呼吸は早く粗い。
モルヒネの注射を開始し、まずは早送りをしても痛みが取れない。
もう1回早送り、「まだ痛い。」
もう2回、「まだ痛い。」
量を増やして、早送り...
と続けて、ようやく呼吸が穏やかになってきました。

「痛みが落ち着いたようなので、これで様子を見ましょう。」
とご本人に声をかけ、
廊下に出てこられたご家族には
「痛みはモルヒネでコントロールして、腹膜炎は抗生剤での治療をしますが、非常に厳しい状態です。」とご説明して、夜中に呼ばれることも覚悟していました。

翌日の日曜日、翌々日の月曜日と、日を重ねるごとに症状が楽になり、
火曜日。
心理カウンセラーがお部屋に伺った時に
「魔法が起こったの」

それから、4日間。
「魔法」で痛みが取れた身体で周りの方にたくさんの感謝を伝えられました。
急変に動揺されていたご家族でしたが、病室に寝泊まりして同じ時間を過ごされることで現実を徐々に受け入れられました。
起きて居られる時間が段々と短くなり、言葉数が減り、話しかけに対してうなずかれるだけになり...

ご家族が穏やかに見守られる中、息を引き取られました。
ご入院されたちょうど1週間後でした。

「魔法」
どんな苦しい状態でも、そう言って感謝できるあなたの心が、
みんなに魔法を見せてくれたのでしょう。

今の僕は魔法が解けて虚ろな状態ですが、
ひと休みして、あなたが見せてくれた魔法をこころに、
がんで困っておられる方の支えになれるようにがんばりますね。
[PR]
by fkymhts | 2016-03-31 16:39 | 病気のこばなし

悪玉 善玉

 っていっても、人の話じゃないですよ。

 診察室で話題になったコレステロールのお話です。

ちなみに、善玉、悪玉とは、それぞれHDL、LDLコレステロールのことで、
HDLコレステロールは、血管内壁にへばりついて動脈硬化を引き起こすコレステロールを引き抜いて、肝臓まで運ぶ働きをしています。このことから「善玉コレステロール」と呼ばれています。
一方、LDLコレステロールは、細胞内に取り込まれなかった余剰なコレステロールを血管内に放置し、動脈硬化を引き起こす原因となるため、「悪玉コレステロール」と呼ばれています。
(http://medical-checkup.info/article/43589316.html)

LDLコレステロールの正常値は70~119、HDLコレステロールの正常値は40以上ですが、
LDLとHDLの値は正常でも、LH比(LDL÷HDL)が高めだと心筋梗塞や脳卒中を起こすことがあると言われています。
皆さんが良くご存知の方では、
虚血性心不全(心疾患)を発症してカテーテル治療をした宍戸錠さんの入院時のLH比は2.0
脳梗塞を発症して薬物治療で血栓を溶かした大山のぶ代さんのLH比は3.1
だったそうです。

LDLは悪玉、HDLは善玉、というお話を始めにしましたが、
悪善比ならぬLH比と血管内のコレステロールの塊の関係は、
LH比が2.0以上になると塊が大きくなり、LH比が1.5を下回ると小さくなると言われています。

専門医のご意見としては、
「一般的にはLH比2.0以下を目標に、
糖尿病や高血圧など動脈硬化の危険因子がある人は1.5以下を目標に、
食生活や運動など生活習慣を改めるましょう。
注意!! 2.5以上になると脂質降下薬などのコレステロールを下げる投薬治療が必要です。」
ということです。

以下のweb siteも参考にさせていただきました。
http://www.hiranogh.com/hirakensa_hanashi007.html

血液検査を受けたら、ぜひ、LH比を計算してみて下さいね。
[PR]
by fkymhts | 2015-01-29 11:47 | 病気のこばなし

うがいにも消毒液は不要?! (更新です)

2005年10月28日の京都新聞にヨード液でのうがいに効果がないことが掲載されましたが、リンクが無効になっていた為、こちらに うがいについてのリンクを更新します。

http://ja.m.wikipedia.org/wiki/うがい?wasRedirected=true

 水でのうがいをしたときは風邪を予防する効果がありましたが、

ヨード液でのうがいをしたときはうがいをしないときと…
[PR]
by fkymhts | 2010-12-17 16:25 | 病気のこばなし

イビキ、気になりませんか?

 ご家族から、また、旅行などで、
「イビキをかいていたよ、」と言われたこと、ありませんか?

 


今日は、イビキの原因にもなる、睡眠時無呼吸症候群についてのお話。
クリックしていただけると、うれしいです。


 イビキが気になる方は、まずは、こちらをクリック。
http://www.sleep-mukokyu.com/check.html

 睡眠時無呼吸症候群の可能性があるかどうか、調べることが出来ます。

 睡眠時無呼吸症候群とは、
睡眠中に呼吸が止まる、または浅くなったり、弱くなったりして、
さまざまな日常生活に障害を引き起こす疾患です。

SASと書きますが、サザンオールスターズではなく、サスと略します。

… ちょっと、ベタなネタでしたね…

 SASについては、
睡眠時無呼吸症候群ガイドというウェブサイトで、わかりやすく説明しています。
http://www.sleep-mukokyu.com/index.html

 最近、ふくやまの外来に、この治療でお越しになる方が増えています。

以前、以前、メタボリックシンドロームと睡眠時無呼吸のお話をしましたが、
<寝る大人はメタボらない??>
 必ずしもメタボ体型でない方でも、SASの診断をされることがあります。

 インターネットでSASの治療を探して、譜久山病院にたどり着かれる方が多く、
その方のお話を伺うと、
「なかなか、検査、治療まですぐにできる医療機関が少ない」
とのことでした。

イビキ
昼にとても眠くなる
体がだるい、頭が重い
夜中に何度もトイレに起きる
寝苦しい
集中力がない

などの症状があれば、SASの可能性があるかもしれません。

気になる方は、上のテストで試してみてくださいね。

譜久山病院での治療をご希望の方は、
078-927-1514 譜久山病院 へご連絡ください。

譜久山 仁 ほか、 常勤医師で SASの診療をしております。

とくに、お仕事上、車に乗る時間が長い方、
ぜひ、お気をつけくださいね。
[PR]
by fkymhts | 2010-06-26 17:23 | 病気のこばなし

腫瘍マーカーが正常なら、がんじゃない?!

 がん、と聞くと、ドキッとしますよね。



今日は、がんの診断で使う、腫瘍マーカーのおはなしです。
クリックしていただけるとうれしいです。


 普段、病院に来られることがない方に、
病気がないかどうかを調べて、
もし、病気があったなら、早く見つけて負担の少ない治療で治るように、
検診をお勧めしています。

 検査の中で、腫瘍マーカー、といって、
がんについての血液検査があります。

 腫瘍マーカーが正常なら、がんじゃないんですね。
と、ご質問を受けることがありますが、
腫瘍マーカーだけではがんかどうかの診断は、実はできないんです。

 腫瘍マーカーが正常でもがんのこともありますし、(偽陰性:ぎいんせい といいます)
異常でもがんではないこともあります(偽陽性:ぎようせい)。

 血液検査だけのがん検診、というのも、あるようですが、
あくまでも、血液検査は検査方法のひとつであり、
他の検査と組み合わせてで診断する必要があります。

 腫瘍マーカーについては、こちらのweb site

http://ganjoho.ncc.go.jp/public/dia_tre/diagnosis/tumor_marker.html

がわかりやすいですので、ご参考にしてください。
 
 譜久山病院にお越しになれる方は、譜久山仁の外来(月・土曜日の午前)でご相談をお受けいたします。
[PR]
by fkymhts | 2010-02-07 07:03 | 病気のこばなし

新型インフルエンザ 予防接種 についての お知らせ

新型インフルエンザについてのニュースをほとんど毎日目にしますね。



今日は、大切な予防接種についてのおしらせ。
クリックしていただけると、うれしいです。


現在、最優先の方の予防接種が進んでおり、
明石市では12月4日から、最優先の次の方の予防接種が始まります。

それに備えて、今日は、外来で担当させていただいている患者さんで、
予防接種を受けていただかないといけない方のリストアップをしていました。

最優先の次の方、というのは、

新型インフルエンザワクチンの優先接種の対象とする基礎疾患
○慢性呼吸器疾患、○慢性心疾患、○慢性腎疾患、○慢性肝疾患、 ○神経疾患・神経筋疾患、○血液疾患、○糖尿病、○悪性腫瘍、 ○関節リュウマチ・膠原病、○内分泌疾患(肥満を含む)、○消化器疾患、 ○HIV感染症・その他の疾患や治療に伴う免疫抑制状態、 ○小児科領域の慢性疾患

のいずれかの疾患にかかっておられて、

最優先の方、
つまり、
「1歳~小学校3年生」及び「特に重症化リスクが高いとして、一定の基準に該当するものとかかりつけ医等が判断した方」
を除く方 です。

最優先の方の予防接種も、引き続き行っていますので、

12月4日から、明石市では
うえの基礎疾患をお持ちの方すべてが、予防接種の対象となります。

詳しくは、明石市のホームページをごらんください。

それぞれの自治体で、予防接種のスケジュールが異なりますので、
明石市以外の方は、ご自身の自治体のスケジュールを確認してくださいね。
ちなみに、兵庫県のスケジュールは、こちら。

予防接種の対象となっていることに気がついたら、
担当の先生にお伺いしてみてくださいね。

(ふくやまの外来に来られている方は、ぜひ、ふくやまにお声がけください。
忘れている方はないと思うのですが…。)

ワクチンの予防効果が期待できるのは接種後2週から5カ月程度と考えられています
早めに予防接種を受けましょう。

なお、新型インフルエンザのワクチンについては、
厚生労働省のウェブサイトに、わかりやすいQ&Aがあります。
こちらからどうぞ。
[PR]
by fkymhts | 2009-12-04 00:44 | 病気のこばなし

抗がん剤治療について、知りたい方へ

 最近、抗がん剤治療をすることが多くなってきました。



抗がん剤治療について、一般的なことをご説明するのに良い資料がありましたので、ご紹介します。
まだ試作版ということですが、とてもわかりやすくまとまっています。
クリックしていただけると、嬉しいです。


下をクリックしていただけると、ご覧になれます。
薬物療法(抗がん剤治療)のことを知る

 国立がんセンター、がん対策情報センターのウェブサイト、がん情報サービス に載っている
がんになったら手に取るガイド(試作版)の一部です。

 抗がん剤治療のほかにも がんになられた方にはとても役立つ資料がありますので、
一度、覗いてみてくださいね。
[PR]
by fkymhts | 2009-10-06 05:02 | 病気のこばなし

ふくまくはしゅ ってなに?

 がんについて、病院で説明を受けられるとき、
言葉がわかりにくくて困ったこと、ありませんか?



今日は、胃がんの情報についてのお話です。
クリックしていただけると、うれしいです。


 ふくまくはしゅ

医療関係者ならば、よく使う言葉ですが、
一般の方には、ほとんど耳にすることがない言葉、ではないでしょうか。

 腹膜播種
と書くのですが、
こう書かれて、
ふくまくはしゅ 
と読める方は少ないと思います。

胃がん治療ガイドラインの解説 には、c0029677_16534022.jpg

腹膜播種性転移:がんが胃の一番外側の膜を破って、お腹の中に種をまいたように広がる。

という説明と、わかりやすいイラスト

が載っています。

病状の進行に関わらず、胃がんについて何かわからないことがありましたら、

胃がん治療ガイドラインの解説
胃がんの治療を理解しようとするすべての方のために


が、とてもわかりやすいです。
オンラインで、無料で内容を公開されていることが、すばらしいですね。

購入しても、1000円(税別)ですので、
これから治療をされる方には、ぜひ、お手元においてほしい1冊です。
[PR]
by fkymhts | 2009-08-22 16:55 | 病気のこばなし

新型インフルエンザ、ふたたび

新型インフルエンザがニュースで取り上げられることが増えてきました。



ふくやまがチェックしているリンクをご紹介します。
クリックしていただけると嬉しいです。


国内の情報

兵庫県・新型インフルエンザ対策について
兵庫県のインフルエンザ対策について、わかりやすく、詳しく書いてあります。

厚生労働省の新型インフルエンザ対策関連情報
気になる症状など、一般の方にもわかりやすくまとまっています。
その中でも、
 みんなで備えよう新型インフルエンザ

 家庭でできる新型インフルエンザ対策

は、必見です。


首相官邸「新型インフルエンザへの対応」
首相官邸からのメッセージです。

国立感染症情報センターの新インフルエンザ(swine-origin influenza A/H1N1)のサイト
最近、アップデートが遅れているようです…。


世界の情報

鳥および新型インフルエンザ海外直近情報集
日本語で海外のインフルエンザ情報が見られます。

WHO swine influenza(世界保健機構の新型インフルエンザ)のサイト
こちらから、8月13日付けの世界での感染およびインフルエンザによる死亡状況が、わかります。
  
CDC swine influenza(アメリカのCDCの新型インフルエンザのサイト)
感染対策については、世界をリードするアメリカのCDCのサイトです。


 TVでは、正確な情報をリアルタイムに見ることが困難です。
いつでも必要な時に、正しい情報にアクセスできるよう、お役に立てれば幸いです。


 また、こんなホームページが便利ですよ、などの情報がありましたら、
ぜひぜひ、お知らせください。

[PR]
by fkymhts | 2009-08-21 10:39 | 病気のこばなし

ついに、世界的大流行

 最近、めっきり関心が薄れてきたように思える、
新型インフルエンザ



もう、過去のことだと思っていませんか?
そんなあなたに、最新情報。クリックしていただけるとうれしいです。


日本では5月17日をピークとして、発症の報告は減っています。

が、

世界に目を向けると、

6月5日から10日にかけての5日間で、
感染者数は 21940人から27737人へ、約5800人増。
死亡者数は 125人から141人へ16人増。
致死率は0.5% となっています。
http://idsc.nih.go.jp/disease/swine_influenza/case2009/090610case.html

そして、ついに、
フェーズ6、世界的大流行の宣言となりました。

世界保健機関(WHO)は11日、新型インフルエンザの警戒水準(フェーズ)を最高度の「6」に引き上げ、世界的大流行(パンデミック)を宣言することを決めた。チャン事務局長が同日に世界各国の専門家で構成する緊急委員会を招集し、南半球を含めた地球規模の感染が始まったとの認識で一致した。

 WHOによると、新型インフルエンザの世界的大流行は1968年に発生した「香港風邪」以来41年ぶり。ただ、今回の新型インフルエンザは弱毒性のため、渡航制限や国境封鎖の勧告は出さない。現段階では経済や社会に与える影響は限定的なものになりそうだ。
 WHOは地理的な広がりを示す警戒水準を引き上げると同時に、健康被害の「深刻度」に関する基準を発表。深刻度は強度(シビア)、中度(モデレート)、弱度(マイルド)と3段階ある。


http://www.nikkei.co.jp/news/main/20090611AT3K1101111062009.html


 まだまだ、過去の出来事にはならない、新型インフルエンザ。
第2波への警戒も必要ですし、南半球で感染が続いていることを意識しておかなければいけません。
[PR]
by fkymhts | 2009-06-11 23:47 | 病気のこばなし