譜久山仁 の 第3診察室

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カテゴリ:医者と患者さん( 132 )

空気



あって当たり前のもの。ありがたみがない、といわれますが、そうではない、ことがあります。
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 「夫婦って空気のようなもんだ、と言いますけど、空気が片っぽなければ、こんなに苦しいんですね。」

 ご主人を癌で亡くされたTさんが、グリーフケア外来に来られて言われた言葉です。

 「四十九日までは忙しかったんですけど、その後に腰が痛くなったりして動けなくなって。
家で話をしても、主人がいないので壁に向かって話をするしかなくて…」
 「主人の名前を見たり、一緒に行った喫茶店のレシートを見たりするだけで涙がでて仕方がないんです。

 空気のように自然に。
それは、とっても貴重な、「有り難い」ことなのでしょう。

 その方の望む暮らしができるような、明るく豊かな地域社会をつくって行きたいですね。
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by fkymhts | 2013-02-16 02:15 | 医者と患者さん

望む死に方

 タイトルにドキッとしたら、ごめんなさい。
先日、ふくやまが患者さんのご家族に言われて、うれしかった言葉なんです。



今日は、久しぶりにがんの緩和医療のおはなし。
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 胃癌で近くの総合病院にかかっておられ、抗がん剤治療をうけられましたが、
病状が進行して体力がもたなくなり、緩和医療目的で譜久山病院に紹介された方です。

しばらくは、第3診察室での外来治療をしていましたが、
食事が出来なくなり、動くことができなくなって、ご入院されました。

ご入院されたときに、
「ご自身の病状について、詳しく知りたいですか?
もし、知りたくなければ、ご家族にお話ししますが、どうしますか?」
とお伺いしたところ、
「全部知りたい。」と言われたので、治療もご本人と相談しながら進めることが出来ました。

はじめに
「どのくらいの期間、生きておられるとおもいますか?」
と、率直に伺うと、
「5-7日くらいかな…」
というお返事。

かなり、ご自身の予後を厳しく見ておられることがよくわかりました。

「点滴も、輸血もしていらんから、とにかく、痛くないようにだけしてほしい。」
というのが、ご本人のご希望。

ご本人の意思を尊重し、緩和チーム内で相談しながら、
痛みどめが内服できなくなることが予想されたので、飲み薬から貼り薬へ変更して、痛みのコントロールを行い、
輸血は行わず、必要な栄養についてはアイスクリームなど食べやすいものをお出しし、
ご入院後2週間と少しで、ご家族に囲まれて、安らかな最期を迎えられました。

痛みのコントロールを開始したのちは、最期まで痛みはなく、
ご家族からは、
「本人が望む死に方が出来ました。ありがとうございました。」
とのお礼の言葉を頂きました。

緩和医療では、残念ながら、患者さんが退院される時は亡くなる時のことが多いです。

死は、敗北ではありません。

医療者にとっての敗北は、患者さんが苦しい最期を迎えざる得ないことであり、
ご家族から「この病院で最期を過ごせて良かったです。」 と言ってもらえないことです。

心からの、
「ここの病院で良かった。」
と言っていただけるような、緩和医療を提供していきたいです。
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by fkymhts | 2011-04-02 22:31 | 医者と患者さん

次の世があったら‥

 と、思うこと、ありませんか?



今日は、ちょっと複雑な気分です。
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 治療をする前に、患者さんとご家族に、
いろいろな合併症(治療に伴って起こりうる、不具合なこと)のお話をする時は、気が進みませんが、

 できる治療がない、ということをお話ししなければならない時は、
どんな風に話したら希望を失わずに現状を受け止めてもらえるか、と
頭を悩ませます。


 どんな治療にも合併症はつきもので、
どんなお薬にも副作用があります。

 たとえ、治療やお薬の効果がなかったとしても‥。

 それだけに、効果がない治療、お薬は、
できるだけなしで済ませたい。
そして、ご家族が納得の上で、そう望んでもらえるようなお話をしたい。

 でも、
治療ができない、ということは、
そのままだと、近々、死が近づいてくる、ということなんですよね。


 そして、
それに対して、なにもしない、ということを選択することは、
とても勇気がいる、のかもしれません。


 こんな時、こう思うんです。

 今は、出来る限りの治療を頑張ってきましたから、
すこし、お休みをして、
次の世に備えましょうね。

と、いうように、考えることが出来たらな、

と。



 死は、敗北ではない。
生を、精一杯、全うしてきたならば、
死しても、無に返ることはない。

というのは、僕が常々思っていることです。

そして、そんな時の、心の拠り所が、
次の世、
なんです。


もちろん、次の世のことを考えるためには、
今の生を、精一杯生きることが先決です。


老いて学べば、則ち死して朽ちず 
(三学戒より http://ja.wikipedia.org/wiki/言志四録 )
という言葉からは、
頑張る余地がある限り、精一杯頑張れば、
たとえ形が無くなっても、残るものはある、
という希望が伝わってきます。


 できる治療がなくなってしまった患者さんに、
面と向かって希望を失わないようなご説明ができるほど、
医者としてまだまだ人間が出来ていませんが、

少しでも希望の光が残るようなお話ができるようにしたいです。
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by fkymhts | 2011-01-19 23:59 | 医者と患者さん

再発



今日は、辛いけど、元気をもらえたお話です。
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「先生、がんが再発しました。」

第3診察室に入って来られたTさんから、辛いお話がありました。

Tさんとは、食道がんを県立病院で手術した後、再発を防ぐための抗がん剤治療 (術後補助化学療法) をするために、ふくやま病院にご紹介頂いてからのおつきあいです。

「そうですか‥」

抗がん剤の副作用も乗り切って、いつも明るく振舞われるTさんですが、
なんとお声がけしたものか、言葉に詰まってしまいました。

「でもね、再発してしまったものは仕方が無いので、県立病院の先生が言われる、放射線治療と抗がん剤治療を受けることにしました。」

Tさんの目には、ご自身の病気に真正面から取り組んで行こう、という強い力が見えました。

「そうですね。
これまで、手術も、その後の抗がん剤治療も、
その時その時で最善、と考えられる治療をしてきたのですから、
今回も、ベストの治療をして行きましょうね。」

と、お答えし、
Tさんと奥さんが放射線化学療法 (放射線治療と抗がん剤治療を組み合わせた治療) について
ご不安、ご不明に感じておられることを伺い、説明をしました。

一通り説明が終わり、納得されたTさんは、
「それじゃあ、先生、
県立病院の入院治療で年内一杯かかると思うので、
退院してきたら、また、お願いしますね。」

と言って、第3診察室を後にされました。

Tさんの前向きな姿勢に、再発の告知の後の診察にもかかわらず、元気を頂きました。

治療を無事に終えて、また、元気なお顔を見せていただけるのが、
楽しみです。
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by fkymhts | 2010-10-24 06:39 | 医者と患者さん

着水

 避けることのできない、患者さんとの別れがあります。



今日は、これまでずっとがんばってこられた、患者さんとご家族との間のお話です。
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 がんの緩和ケア、と、ひとことで言っても、

おひとりお一人の患者さんで、ちがった時間を過ごされます。


 今日のお話の患者さんは、

ほかの病院からご紹介をいただいて、

ふくやまが関わらせていただくようになってから、

抗がん剤の治療、

がんの転移に対する治療、

そして、

痛みや気分の悪さ、不安などの症状を和らげる治療

をしてきました。


ご病状が急に悪くなり、行き詰った、と思ったときに、

ご本人様、ご家族様のがんばり、

そして、周りの医療機関の方に助けられながら、

手術や他の治療で、ご病状を回復することができ、

ふわっと、
鳥人間のように浮かび上がりながら、

ここまで来れました。


 「苦しむことなく、

 最後に、すーっ、っと、着水ができるようにしてください。」


 という、ご家族様のご希望に、

十分に沿うことが出来なかったかもしれませんが、

最期に苦しい表情を見せられることなく、

すっと、逝かれました。



 ご本人様ががんばられ、

ご家族様の支えがあればこそ、

ふわり、ふわりと、ここまで飛んで来られたのだと思います。


 本当に、お疲れ様でした。
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by fkymhts | 2010-08-20 03:45 | 医者と患者さん

湿潤療法希望

今日は、譜久山病院に治療にお越しになる患者さんとのお話です。


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譜久山病院に初めてお越しになると、問診票を書いていただいています。
その中に、「どのようにして当院をお知りになりましたか?」
という内容の質問があります。

最近は、
「インターネットで見ました。」 とか、
「ブログを見て。」
というお答えを頂くことが多くなってきていて、
とても嬉しく、有り難く思っています。

今日は、
「湿潤療法を希望します。」
というコメントがあり、診察をさせて頂きました。

消毒をしない治療についてご理解いただけており、
治療についての説明もスムーズにできました。


縫ったキズは、短時間ならば濡れても問題ありませんが、
ふやけるとキズのつきが悪くなり、縫ったところがくっつかなくなることもあります。

譜久山の外来では、キズの治療についてお話しをさせて頂いています。

こちらから、http://www.fukuyama-hp.jp/?cat=16
譜久山仁の外来 をご確認いただけます。

ご参考になりましたら、幸いです。
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by fkymhts | 2010-08-18 22:14 | 医者と患者さん

さすが100歳!

 今日は、ふくやまは当直です。



世の中では、連休の中日。
患者さんとの会話で、くすっと笑っていただけると、幸いです。
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 意識状態が悪い、ということで、
救急車で搬送されてきた患者さん。

 御年、100歳。

 救急隊からの情報では、
「現着時、意識レベル低下あり、JCS II-20。 呼名で返答はありません。 バイタルは血圧低下あります。」
とのこと。

訳すると
「救急隊が、現場に到着したとき、意識の状態が悪く、大きな声をかけたり揺さぶったりしたら辛うじて目を開ける程度。名前を呼んでも、返事はありません。血圧が下がっています。」

 との連絡が入っていました。

 救急車の中で、少しずつ意識の状態が良くなってきたらしく、
病院にこられたときは、大きな声で呼びかけると、お返事はされる状態でした。

 意識の状態を調べるときに、
見当職障害(時・人・場所がわかるかどうか)を、尋ねるのですが、

病院に居られることがわかるかどうかを確かめるために、大きな声で
(なんといっても、100歳ですから、耳も少し遠くなっておられるので)

 「ここ、どこかわかりますか?」

と、お体に触れながら尋ねたら





 「肩」

というお答えが返ってきました。


 看護師さんと顔を見合わせたふくやまの手は、

たしかに、患者さんの左肩の上。



 これは、一本、取られました。
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by fkymhts | 2010-07-18 21:08 | 医者と患者さん

伝える だけでなく 伝わる ように

 伝えたつもりが、

意図していたのとちがうように

伝わっていた。


そんな経験をされたこと、ありませんか。



ふくやまの想いが、あなたに伝われば良いのですが。
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 患者さんにお伝えする時には、

伝わっていなければこちらの伝え方が悪かった、

と思っています。 


 そんなつもりじゃなかったのに、

と、思うことがないわけではありませんが、

ふくやまが伝えることが目的ではなく、

患者さんに伝わることが最終目的ですから。


 医療者と患者さんは、

立場も違いますし、医療の予備知識や情報量も違います。


 できるだけ、わかりやすい言葉で、

伝わっているかどうかを、小刻みに確認しながら、

あとで振り返ることが出来る資料をお渡しして、

お伝えしたいことが、できるだけ、伝わるようにしようと思います。
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by fkymhts | 2010-07-06 22:00 | 医者と患者さん

看取られる方へ

 がんの治療をされる患者さんは大変ですが、
患者さんのご家族も初めてのことばかりで戸惑われることが多いと思います。




がんの治療が終わり、最期にはどんなことが起こるのかを知っておくと、
心の余裕が出来るかもしれません。
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 医療者にとっては、何度も迎えることのある最期ですが、
ご本人にとっては、もちろん始めて、
そして、ご家族にとっても、おそらく、あまり経験のない最期の時間。

最期の時間を、どのように過ごしたいでしょうか。
そして、
最愛のご家族を、どのように看取って差し上げたいでしょうか。

どのようなことが起こり、
それに対して医療者がどのような対処をするのかを知っていただくことは、
心と知識の大きな支えになると思います。


ふくやまが緩和ケアでかかわらせていただいている全ての患者さんとそのご家族へ、

そして、緩和ケアの情報を必要とされる全ての方へ。


「緩和ケア普及のための地域プロジェクト」 OPTIMのウェブサイトから、


こちらの情報が、きっとお役に立ちます。

http://gankanwa.jp/tools/pro/pdf/mitori02.pdf
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by fkymhts | 2010-06-23 22:30 | 医者と患者さん

鳥人間



患者さんのご家族の言葉に、はっとしました。
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 「ずっと、飛んでいくことが出来ない、ってわかっているんです。

いつか、落ちる。

でも、すこしでも前へ、長く飛んでいたい。」


 「がん患者の家族としては、

もう助からない、ということはわかっていても、

一日でも長く、希望を失うことなく、生きていて欲しいんです。」



 そうですね。

だんだんと、水面が近づいてきても、

すぐに落ちるわけではない。

ふわっ、っと、水面から浮かび上がる瞬間も、あるかもしれない。


 いつか、水面に着水する時は来るのでしょうが、

その時が、一日でもあとになるように、

そして、

「おちる、おちる。」

と、おびえながら飛ぶのではなく、

「少しでも前に行こう。」

という希望を持って生を楽しんでいただけるよう、

そして、

すーっ、っと、着水ができるよう、

患者さんを、ご家族を、サポートしていこう、

と、こころを新たにしました。



 気づかせてくださった

患者さんのご家族に、

感謝、です。
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by fkymhts | 2010-04-23 22:48 | 医者と患者さん