譜久山仁 の 第3診察室

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パワーアップ

 明日、6月から、譜久山病院の診療体制がパワーアップします。
外科の先生が新しく勤務されることになり、外来、検査がより充実します。

 外来患者さんには、これまでの外来担当が変更する部分もあり、ご迷惑をおかけするかもしれません。新しい外来担当表を受付においてありますので、ご参照ください。

 譜久山仁の外来としては、毎週月曜日の午前に、キズの外来 が新しくできます。
キズを自分で処置する方法をお教えすることが、キズの外来の最大の目的です。

それにより、患者さんが外来を受診する回数が減ることが予想され、病院の収益という面からだけ考えると、 病院にとっては望ましくないことかもしれません。
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でも、からだって、病院に行ったら良くなるものではないのです。
病院は、けっしてからだを良くする魔法の箱でも、ブラックボックスでもありません。

キズを自分で処置し、
からだが治っていく様子を自分の目で確かめ、
自分のからだとの対話をする。

そして、患者さんだけでは解決できないことを、医療者が協力して解決する。

それができるようになれば、
医療者はより治療が必要な患者さんにより重点的に、より多くの時間を充てることができるようになり、
より治療が必要な患者さんは、短い待ち時間で、十分な治療をうけることができるようになり、
セルフケアができる患者さんは、病院に行く必要が減ってくる。

そうなると、単に病院の収益と換えることのできない、より大きなものが得られると思うのです。

明日からのパワーアップした病院が、とても楽しみです。
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by fkymhts | 2005-05-31 22:30 | 診察室のひとりごと

4日間の奇跡

 6月4日に映画化、公開されます。
このミステリーがすごい 大賞 受賞作品。c0029677_21525316.jpg

書店のベストセラーにのっていたので、なんとなく買ったのですが、一気に読みきってしまいました。
ストーリーは読んでのお楽しみ、ですが、ピアノの曲に対する描写が秀逸。
到底手の届かない曲ですが、月光の第3楽章の描写を読んでいると、弾いてみたくなりました。

 映画も、観に行きたいですね。
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by fkymhts | 2005-05-31 21:56 | 白衣を脱いで

この手術は、しないといけませんか?

 お腹に水が貯まって苦しいと、強く訴えられている患者さんの治療をすることになりました。

おしっこを出す利尿剤を使っても、お腹の水(腹水)は減りません。
お腹に針をさして、腹水を1.5リットルほど抜いても、2日たつと元通りになってしまいます。

 腹水を持続的に減らす方法として、腹水静脈シャントがあります。
お腹の中に管を入れて、その管の反対側の端を鎖骨下静脈(鎖骨の下にある静脈)に入れて、腹水を静脈に直接流れ込むようにする手術です。

手術の説明をしているときに、ご家族からご質問がありました。

「この手術は、しないといけませんか?」 

 「しないといけない手術ではありません。
 手術にはデメリットももちろんありますので、ご本人が希望されない手術はできません。
 ただ、腹水を減らすためには、ほかの治療が効果がなかったので、この手術が有効だと思います。」

患者さんの治療をする上で、医療者側が患者さんに強要することは、原則的にはあってはならないと思います。

  「100%安全な手術というのはありませんし、それだけに手術によってかえって状態が悪く  なることも考えないといけません。

 しないといけない手術はありませんが、手術のメリットとデメリットをご説明しますので、手術を 受けられるかどうかはそれをお聞きになってから決めてください。

 決められる上で、ご不明な点、さらに情報がほしいことについては、ご説明をしますので。」
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 医療者が患者さんのことを一方的に考えて治療を行っていた パターナリズム から、
患者さんをempowerして、治療方針を自身で決定してもらい、治療に参加してもらうinformed consent へ。

医療を取り巻く環境が変わってきています。

患者さん不在と言われていた医療 から 患者さん中心の医療 へ、
患者さん、ご家族の方の意識も変わっていくでしょう。
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by fkymhts | 2005-05-30 20:30 | 医者と患者さん

キズの外来、はじめます

 6月からキズの外来をはじめます。

キズ、については、一般の人よりもかなりの数を経験しているつもりです。

 いえ、治療をした経験についてよりはむしろ、治療をされた経験です。

小さい頃、生傷が絶えることなく、いつも体のどこかにガーゼが貼ってありました。
頭のてっぺんから足の先まで、縫わないといけないキズをしたことが数限りなくあり、
父親が外科医で本当に助かりました。

それだけに、
キズの処置で消毒液がしみる痛み、
ガーゼをベリッとはがされる痛み、
膿を出す為にキズの中に細いガーゼをグリグリと入れられる痛み、

キズを濡らさないようにお風呂に入るときの不自由さ、
毎日処置をしないといけない不自由さ、
ガーゼや包帯が外れてしまう不自由さ

など、キズにまつわる困ったことは、ほとんどすべて体験しています。

 そういう、自分自身が困ったことで、患者さんができるだけ困らないように、キズの処置を専門にする外来をはじめます。

 キズの外来では、あたらしいキズの治療を通じて、キズの手当てって、むずかしくないことを患者さんにお話します。c0029677_23124640.jpg

 これまでにキズの治療でイタイ思いをされている方、
なかなかキズが治らない方、
湿潤療法、閉鎖療法の治療を求めている方、
やけど、床ずれの治療が必要な方、
その他、痛くなく、早く、きれいにキズを治したいすべての方。

毎週月曜日の午前中のキズの外来にお越しください。
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by fkymhts | 2005-05-29 00:12 | キズの手当て

help

 パソコンの調子が悪くなった。
金曜日の昼にウィーン、カタカタッと音がして、正常に起動しなくなった。

いつも、申し訳ない、と思いながら、友人に連絡を取る。

「明日なら、空いてるよ。」
と、二つ返事でhelpを申し出てくれる。

本当に助かる。

 日が変わって、今日。
当直明けの土曜日ということで、遅くとも昼過ぎには手が空くだろう、と考えていたら、甘かった。

主治医をしている患者さんの容態が悪くなり、救急搬送されてくる。

その患者さんの治療をしているうちに、約束の時間を越えてしまう。
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遅くなって、申し訳ない。
病院に来て、待ってくれている間も、まったくイヤな顔をせず、淡々とパソコンを調べてくれる。

約束の時間から大幅に遅れて、彼と一緒に病院を出て、自宅に戻る。

パソコンの不具合の原因と対策を教えてくれ、helpが終わったあと、彼は颯爽と帰っていった。

次の具体的な対策の手筈までも整えて。
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by fkymhts | 2005-05-28 23:48 | 白衣を脱いで

はやくバトンを

 救急車で運ばれてきた患者さんがいました。
検査の結果、太ももの骨(大腿骨)の骨折があり、手術が必要です。
ただ、他の病気もあるため、手術および麻酔に関しては専門医の元での治療が必要です。

 譜久山病院では専門的な治療が提供できない為、転院をしていただくことになりました。

 自分の病院で治療を完結することができないのは残念ですが、
不十分な医療を提供することは患者さんにとって不利益となります。

 医療ソーシャルワーカーの協力で、早期に総合病院へ転院をしていただくことができました。

c0029677_238813.jpg 患者さんの状態がいいうちに、適切な病院へはやくバトンをわたす。

 それも、大切な仕事だと思っています。

 
 
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by fkymhts | 2005-05-28 05:21 | 医者と患者さん

憤り

 事故にあって、重体の患者さんが救急車で搬送されてきた。

病院到着時は、心肺停止状態。

気管内挿管、人工呼吸、心臓マッサージ、点滴ルート確保、強心剤注射

すべて行うが、心電図は、正常な波形を刻まない。

蘇生をしながらのCT検査では、いくつか異常が見つかったが、死因を特定することはできない。

蘇生も空しく、患者さんは亡くなった。

事故で亡くなって、死因を特定できない場合は、本来は監察医による行政解剖が必要である。

検視した警察からは、
「事故の目撃者はおり、事件性はないので、死亡診断書を書いてほしい。」 との要望。
「明石市には監察医制度がないので、事件性もないし、なんとか診断書を書いてもらえないか」

死因よりも事件性の有無の方が重要関心事である様子。
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事件性の有無が大切なことはよくわかる。
でも、人が亡くなる、その原因というのは、もっと大切なことではないのか。

監察医を設置しているのは東京23区、横浜市、名古屋市、大阪市、神戸市の五都市だけである。

人の死の原因よりも事件性の有無が優先される現状、
監察医がわずか五都市にしか置かれていない現状
翻って、人の死の原因を正確に判断することに重きをおいていないと考えられる行政の現状
に、憤りを感じる
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by fkymhts | 2005-05-27 22:15 | 診察室のひとりごと

手本

 中学からの友人であるGALANT's Cafeさんへのトラックバック。
で、まだまだ「ボス」ネタです。

 研究室の送別会がありました。
ちなみに、大学病院の消化管グループの研究室です。

 送り出されるのは、ボスと、腹腔鏡手術を専門とされているI先生のお二人。

 印象に残る、I先生の言葉。
「患者さんのことを思いやる気持ちがないと、腹腔鏡手術はできない。
腹腔鏡手術では、手術創が小さくなって痛みが減り、術後早くに食事を食べたり動いたりできる。
そのために、開腹手術なら短時間で終わるものでも、時間をかけてでも腹腔鏡で手術をしているのだから。」

 意見の一致が見られてうれしかったボスとの会話。
「医療で大切なことは、患者さんとのコミュニケーションをどれだけ取れるかということ。
個人情報保護やカルテ開示などが最近話題になっていることが多いが、なによりも患者さんとの信頼関係を築きあげることが、書類の整備よりも重要。」

 どんなに忙しくても、かならず患者さんの顔を見に行っていたボスの姿が、手本です。
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by fkymhts | 2005-05-25 00:06 | 白衣を脱いで

あたらしいラップ

ラップ療法でのラップの効果は、これまでの創傷被覆材で治らなかった褥創が治った、など、非常に大きいものがあります。

 その上、コスト対効果比で考えると、患者さんの負担としても、医療費に対してもやさしい治療法です。

 ただし、今のラップは食品用であり、それを医療用に使うのは望ましくない、という一部の意見もあります。

 これまでにも、皮膚科の治療でステロイドなどの軟膏をぬった上にラップを貼ると効果が良い、という治療はすでになされてきており、食品用ラップを医療で使ってはいけない、というのはナンセンスな意見だと、個人的には考えています。
 
 しかし、その意見のために、病院によってはラップ療法を導入できないところもあるというのが実情のようで、医療用ラップを製作してくれるメーカーさんがあればなあ、と、
6月4日の 褥創の開放性ウェットドレッシング療法(ラップ療法) 講演会 の協賛をしていただく旭化成ファーマ株式会社(サランラップの旭化成)の土屋様にご相談してみました。c0029677_6191336.jpg

 食品用ラップのメーカーさん、先見の明を持ってあたらしいラップを作りませんか?
褥創だけでなく、やけどや潰瘍、お年寄りのケガ、など、ラップを使った治療について、情報提供をしますので。

ご興味のある方は、ぜひご連絡ください。
(右下のcomment欄、もしくは、fkymhts@yahoo.co.jpまで)
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by fkymhts | 2005-05-24 23:07 | キズの手当て

言うべきか、言わざるべきか

 進行がんの患者さんの主治医になることがあります。

 時として、患者さんが自分の病名を知らないことがあります。

 そのときに、どうするか。

 告知すべきか、しないべきか。

 
 僕は、原則として、告知をする立場にいます。

 理由は、
患者さんの治療について、患者さん自身が選び、決定する権利があるから
患者さんに残された時間は、患者さん自身が管理する権利を持っているから
そして何よりも、患者さんは、患者さん自身の人生を主役として全うする権利を持っているから
です。

 ただし、
患者さんが自分の病名を知りたくない場合は、はなしは別です。

 患者さんには、自分の病気について知る権利がありますが、
当然のことながら知ることを拒否する権利もあります。


 ただ、誰にとっても、自分の人生は、自分自身が主役です。

病名を知ったらショックを受ける。
これまで病名を知らせていなかったのに、いまさら知らせることはできない。
病名を知らない方が幸せだ。

という、おもいやり、よりは、

患者さん自身の残された人生を、主役としてまっすぐ歩いていけるように、
そして、できることならば、最後までその人らしさを損なうことなく、人生を全うできるように、
サポートする。

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 そうして、最期まで、患者さんと一緒に歩んでいきませんか?
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by fkymhts | 2005-05-22 16:21 | 医者と患者さん