譜久山仁 の 第3診察室

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らぱころん

らぱあっぺらぱたんに続く、第3弾。

らぱころん のご紹介です。


今日は、久々の外科のお話です。
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らぱころん

正式には、

Laparoscopic-Assisted Colectomy (らぱろすこぴっく あしすてっど これくとみー)

腹腔鏡補助下大腸切除術。

略して、LAC(らっく)と呼ばれることもあります。


以前は、大腸癌の手術、というと、
おへその少し上から恥骨の上までを
ズバッと 切る 開腹手術 しかありませんでした。
これで、キズの大きさは、約20-25cmくらい。

今は、腹腔鏡を使って、小さいキズで手術をすることが可能になってきています。

どのくらい小さいか、というと、
腹腔鏡(カメラ)を入れる為のキズが1.5cm,
手術の機械(マジックハンドの先にはさみなどが付いているもの)を入れる為のキズが1.5-2cmを3カ所,
切除した腸(癌の部分ですね)を取り出すためのキズが4cm。

開腹手術と比べて、手術後の経過が良い、という論文の報告もされています。
結果を簡単に言うと、(LAC:らぱころん、 OC:開腹手術)
術後臨床経過では
LACで疼痛が少なく,
消化管機能回復が早く(経口摂取開始:LAC : 3.0±2.8日vsOC : 5.8±1.6日,p<0.0001),
術後在院日数が有意に短かった(LAC : 15.8±6.8日vsOC : 26.5±7.2日, p<0.0001)

つまり、
開腹手術では、食事開始まで6日前後で、退院まで27日前後だったのが、
らぱころんでは、食事開始まで3日前後、退院まで16日前後 と
手術後の回復が早かったと言うことです。

すべての大腸癌の患者さんにらぱころんが可能なわけではありませんが、
手術をしないといけない時に、大切な選択肢として考えられると思います。

らぱあっぺ、らぱたん、らぱころん

腹腔鏡手術で、
出来るだけ手術後の痛みが少なく、
回復が早くなるように、していきたいです。
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by fkymhts | 2007-06-30 17:36 | 手術室で

成長

 医療者 も また、 

ひとりの、生身の、人間です。


今日は、ちょっと、ひとりごとです。
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 仕事を通じて、私生活を通じて、

成長していきます。


 独身の時は仕事一辺倒だったのが、

結婚するとパートナーのことを考えるようになり、

子供が出来ると家庭のことを考えるようになり、

親が年老いると親のことを考えるようになります。


 そうして、医療者 も、

ひとりの人間として、成長していきます。


 その立場にならないとわからないことがあります。


 パートナーを持って、

親になって、

子供として親の介護をするようになって、

初めてわかることがあります。


 それまでは想像することしかできなかったのが、

その立場におかれて初めて、

困っておられた人の気持ちが

わかるようになるんです。

 
 成長していく 医療者が 生き生きと仕事ができること。

 これは、医療施設にとって、かけがえのない財産だと思います。


 医療者が、 生涯を通じて 成長し、

その成長によって、 よりよい医療を提供できる。

 
 そんな、医療者の成長を支援できる医療施設でありたいと

思います。
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by fkymhts | 2007-06-29 01:47 | 診察室のひとりごと

むかしの人

 「最近、足がだるくてだるくて。

主人の介護をしないといけないんですが、思うように足が動かないんです。

床に座るのではなく、椅子に座るようになったのがいけないんでしょうかねぇ。」



今日は、ちょっとなごみ系です。
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 往診でNさんを診察した後、Nさんの奥さんが困ったように言われました。


「むかしの人は、わたしの知っている明治以前の人たちはもっと足がしっかりとしていたんですが…。」


Nさんの奥さんは86歳。

Nさんは91歳。


立派に老老介護をされています。


往診でその人が主(あるじ)として生活されている姿を見させていただくのは、

医療者としての楽しみの一つです。


それにしても、

むかしの人、が、明治の人になるんですから、

年季が入っています。


いつまでも、ご夫婦そろって、お元気でいられますように。
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by fkymhts | 2007-06-28 22:16 | 医者と患者さん

いのち

 「何があっても、いのちまではとられないだろう」

 「いのちに代えても」

というくらい、すべてのものの中で、もっとも大切なものとされる、

いのち。


その、いのちにかかわることが多いのが、医療です。


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どんなに、病院に長くいないといけなくても、

どんなに、夜中だろうが早朝だろうが、時間かまわず電話がかかってきても、

どんなに、患者さんの病気のことで頭を悩ませても、


「おかげで、いのちが助かりました。」

という言葉で、報いられます。


そう、

僕がいのちを助けるのではありません。

僕が何らかの形でいのちが助かるのにかかわった、のだと思います。


でも、

どんな形であれ、

すべてのものの中で、もっとも大切なものとされる、

いのち、が助かるのにかかわることができる。



どんなに日々の業務が大変でも、

この尊いことを職業とできるのは、

幸せだと思います。



すこしでも多くの人のいのちが、

すこしでもしあわせに、ながらえますように。
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by fkymhts | 2007-06-26 23:03 | 医者と患者さん

緩和ケア

 癌などの悪性疾患をはじめとする、

終末期における苦痛を和らげるケアを、

緩和ケア、といいます。



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 緩和ケアを受けられる患者さんは、

残念ながら、完全に病気がなくなるという状態になることはありません。

それだけに、緩和ケアは、

その患者さんにとって残りの一生を通じて必要なケアとなります。


 一時的なものなら、その期間だけ我慢すればいいこともあります。

でも、緩和ケアは、一時的ではなく、命ある限り、ずっと続くものです。


 患者さんが、残りの一生を、

からだ も こころ も すこしでも安らいだ状態で過ごすことができる、

そんなケアを提供する。


そして、残りの一生の間、ケアを提供し続ける。

これが、緩和ケアに携わる医療者に必要なことだと思います。


 緩和ケアを受けられる患者さんが、

尊厳を持って残りの一生を過ごせますように。


 そして、ケアの提供という点を除くと、

患者さんと医療者がおなじ人間として

対等の立場でありますように。

 
 自分がその立場になったときに受けたい医療、ケアを

提供していきたいです。
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by fkymhts | 2007-06-24 00:02 | 診察室のひとりごと

腕 と こころ

「この病院には、いい機械があるから。」


「いえいえ、お母さん、ちがうのよ。

先生の腕がいいのよ。」


なんとも、面映い気持ちで、その場からそっと抜け出したいような気になってしまいました。


胃カメラで、吐血の原因を検査したときのこと。

通りいっぺん、食道も、胃の中も、十二指腸も見てみましたが、出血しているところはありません。

おかしい。

でも、どこか、出血しているところがあるはず。


十二指腸にもう一回カメラを入れてみると、

普段はあまり潰瘍ができない、十二指腸のすこし奥まったところ。

カメラがするっと抜けてしまって、見落としがちなところに潰瘍がありました。


潰瘍の治療を始め、患者さんとその娘さんに検査結果をご説明しました。



譜久山病院の機械がいいわけではありません。

まして、僕の腕がいいわけではありません。


ただ、

どうしてもこの人を良くしたい、

という こころ が、

おかしい、というヒントをくれました。



一人ひとりの患者さんの

一つひとつの検査、治療。


その一つひとつをうまくいくようにする

こころ、

大切にしたいです。
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by fkymhts | 2007-06-14 21:44 | 医者と患者さん

ぽっかり


空いた、心のすきま。


朝に、昼に、夜に、

一番気になって診察に行っていたベッドも、

ぽっかりと空いています。


患者さんががんばれば、

医療者もがんばれば、がんばるほど、

ぽっかりと空いたすきまは、

大きくなります。



どうしたら、救えたんだろう。

やれることは、すべて、した。


それでも、救えなかった命に、

自分の力不足を感じます。


ぽっかりと空いた心のすきま。


満たしてくれるのは、

それでも感謝してくださるご家族の

「ありがとうございました。」

という言葉 

です。


ご家族の心のすきまも、

大きいでしょうに。
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by fkymhts | 2007-06-08 02:53 | 医者と患者さん